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『書籍レビュー シリーズ「企画」 第12回:日本一のローカル線をつくる: たま駅長に学ぶ公共交通再生』

日本一のローカル線をつくる: たま駅長に学ぶ公共交通再生 12.02.15 小嶋 光信 著

【はじめに】
昨年初めに「企画」について興味をもち、企画のことについて本を読み漁りました。
わたし自身は営業担当で、「企画」とはあまり関係のないポジションなのだとの認識でした。
けれども読んでいくうちに企画と営業は密接に係わっているのではないかと
考えるようになりました。
書籍レビューを通じて共通しているところ、していないところは何か。
営業のノウハウを企画ノウハウに置き換えることができないか。また、
実際の仕事や生活にどのように役立てられるかを考え、実践するべく
『書籍レビュー シリーズ「企画」』を企画いたしました。


シリーズ「企画」 第12回目は、

日本一のローカル線をつくる: たま駅長に学ぶ公共交通再生 12.02.15 小嶋 光信 著



たま駅長の社長さんで有名な両備グループ代表の小嶋 光信氏書き下ろし。
先日、両備グループさんの地元岡山市で開催された両備グループフェア2013に参加したときに購入し、講演会にも参加。


地域公共交通機関の再建をキーにしたまちづくりを企画・実行されています。
再建を手掛けられた交通機関は鉄道、バス、タクシー、フェリーとさまざま。


もう立ち行かなくなり、どこも引き受けの手がない中、独自に培った企画力をもって、
再建不可能と思われた会社を復活させると同時に、そのまままちづくりのキー企業として
なくてはならない存在にまでしてしまう。マジックか魔法かと思うような手法が綴られています。


『公設民営』という企画。


地域公共交通が立ち行かなくなる根本原因は、車両や施設などハード面から、運行や
人件費などのソフト面のすべてを企業側で負担していることです。
地方の企業においては負担しきれないところまできています。国・自治体から補助金制度はあるも、バス路線運営についてのみ、しかも赤字補填につかわれるものであることから、
企業延命の処置となっているのが現状です。


そこで現在、必要なビジネスモデルとして、『公設民営』を小嶋代表は推奨しておられます。


『公設民営』とは、車両や施設などのハード面を国や自治体で負担し、運行・運営は民間責任で執行。
負担する部分を公と民間で分けることで、国や自治体は適切な街づくりの投資、民間は健全経営のもと、
安全で快適な運行を利用者に提供する、ヨーロッパでは一般的に普及しているモデルです。


しかし、日本では実現がむずかしいようす。
『公設民営』の有効性を訴えても、行政はなかなか動いてくれません。


いくら訴えても動く気配のない行政。
けれども、小嶋代表は遠からず必要とされるスキームであることを確信し実証する時を待つ。


すると、三重県津市から中部国際空港へ高速艇による運航事業開設の相談を受けることに。
当時、三重県からの航路は需要が少なすぎて地元事業者の参入が見込めない状態でした。
そこでボランティアで調査・分析を引き受け、これまであたためていた『公設民営』の手法を
用いたプランをお渡ししてあげたのだそうです。


提案するだけで終わりのつもりが、地元からの応募が1社のみでしかも海運経験もないことから、
プランを作成した両備グループに公募の参加依頼。熟慮を重ね応募することになり、その結果選ばれ、
2005年2月、全国初の公設民営型ビジネスモデル津エアポートラインが運航されました。


この時の経験が、たま駅長で有名な和歌山電鐡に生かされることになります。
旧南海電鉄貴志川線。年間5億の赤字から廃線することが決まっていました。


「貴志川線の未来をつくる会」6,000人の会員から両備グループへ熱心なアプローチがあり、
ここでも処方箋として、公設民営のプランをお渡ししたのだそうです。


和歌山県が引き受け会社を公募したものの、鉄軌道会社の応募がなく、ここでも地元から強く公募を
押されて応募し、引き受けることになりました。


その後の展開は、再建の看板たま駅長の活躍で、企業再建どころか地域再建からまちづくりにまで至っています。

和歌山電鐡の事業は『公設民営』をキーに企業再建からまちづくりにまで至る成功事例となりました。

引き受け手のない企業を引き受け、うまくいっている理由はなんだろう?と考えていました。
著書や講演を聴いた中で肝と思える理由が3つありました。

ひとつめが、『分析力』

・経営スタッフの分析。
・小嶋代表が自身の足を使い集めた情報からの分析。

以上の分析をもって再建できると判断し、プランを作成。


ふたつめが、『考え方』

・忠恕(真心からのおもいやり)
・知行合一(よいと思ったら必ず実行する)

これは、たま駅長誕生のエピソードから知ることができます。和歌山電鉄開業の際、貴志駅のとなりにある売店に住んでいたたまの住居を移転しなくてはならなくなり、飼い主からたまの移転先を貴志駅にと頼まれたのだそうです。
どうしたものかと思ったのだそうですが、たまを一目みたときに、『あ、駅長をやってもらおう』とひらめき、たま駅長が誕生しました。

なんとかしてあげたいという忠恕の思いと、よいと思ったら実行する知行合一がぴったり折り重なった例ではないかと思います。


最後に、社員スタッフの実行力です。

小嶋代表の発案に社員スタッフの『は?また?冗談でしょ?』というシーンがしばしばあるのでは。。。
しかし、だれもやったことのない再建事例を次々とこなしていかれるのは、まぎれもなく
『代表がまた面倒なことに首をつっこんだよ。けどしゃあない。いっちょやったろか!』という社員スタッフの実行力につきるのではないかと思いました。


・分析力
・考え方
・実行力


以上3点が、その後の中国バスの再建及び、この4月からバス業界で初めて『公設民営型ビジネスモデル』が誕生した、井笠バスカンパニーへとつながっているのではないかと思います。



本日も最後までお読みいただきましてありがとうございます。


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18回


カテゴリー: 書籍 2013-04-12 09:00 投稿者:木本 
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